市民と野党の共闘

医療・スポーツ・文化・芸術…各界127人が賛同 東京五輪を中止してコロナ対策に全力を 大阪革新懇がアピール発表

 新型コロナの感染再拡大の危険が叫ばれているにもかかわらず、政府や東京都、国際オリンピック委員会(IOC)などが23日からの東京五輪開催に突き進む中、進歩と革新をめざす大阪の会(大阪革新懇)は6月28日、大阪市北区内で記者会見し、アピール「『オリンピック憲章』にも反する東京五輪の夏開催を中止し、コロナ対策に全力を注ぐことを求めます」を発表しました。同アピールには医療、スポーツ、文化・芸術など各界から127人(うち公表可は111人)が賛同し、多くの人々がそれぞれの立場から東京五輪の7月開催中止や延期を求めるメッセージを寄せています。

影響が深刻な大阪の地から

 大阪革新懇は新型コロナ問題で、大阪の実態や対策を現場から検証するシンポジウムを2回開いたほか、吉村洋文知事に対策強化を求める緊急要望を提出し、情報共有のための特設サイトも開設してきました。新型コロナ感染による死者数が東京都を上回り、医療の危機的な状況が続く大阪から、五輪開催中止の声を発信しようと取り組まれたのが、今回のアピールです。
 アピールでは、東京五輪には10万人程度の選手・関係者が来日し、人の流れは確実に拡大すると指摘。大阪では感染拡大でより多くの人命が失われる危険があることから、日本三大祭りの一つ、天神祭の主要行事がことしも中止を余儀なくされているとし、国こそ人命最優先の立場に立つべきだと主張しています。

専門家の声に謙虚に耳傾け

 新型コロナのパンデミック(世界的流行)の下では、アスリートが満足に練習できず、代表選考会が公平に開けていない国も出ていることなどを挙げ、東京五輪の開催強行は、公正・平等な競技大会というオリンピック・パラリンピックの理念・目的にも反すると強調。開催に伴うコロナ対応に医療従事者や救急隊員を動員することになり、医療関係者からは「オリンピックよりコロナ対策に従事させろ」との声が多数上がっているとしています。
 アピールは、政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長が「パンデミックでの五輪開催は普通できない」と危機感をあらわにし、多くの専門家も感染爆発の可能性を指摘していると指摘。国に対し、新型コロナで多くの人が命を落とした事実を真剣に受け止め、専門家の意見に耳を傾けて東京五輪の7月開催をきっぱり中止するよう求めています。

多岐にわたるアピール賛同

 呼び掛けたのは、大島民旗(西淀病院副院長・大阪民主医療機関連合会会長)、川崎美榮子(医師・大阪府保険医協会副理事長)、桜田照雄(阪南大学教授)、杉本和(新婦人府本部会長)、藤永延代(おおさか市民ネットワーク代表)、渡辺武(大阪城天守閣元館長)の大阪革新懇代表世話人の6氏。
 賛同者は、日本赤十字看護大学名誉教授の川嶋みどり、耳原総合病院院長の河原林正敏、スポーツジャーナリストの谷口源太郎、元シンクロナイズドスイミング日本代表の二村和子、弁護士の仲岡しゅん、神戸女学院大学名誉教授の内田樹、作家の落合恵子、絵本作家の長谷川義史の各氏をはじめ、多岐にわたっています。

(大阪民主新報、2021年7月4日号より)